Internet Explorer が既定のブラウザーでなくなった理由

質問なぜ、Internet Explorer が Windows 10 の既定の Webブラウザーではなくなったのですか?

回答いくつか理由は挙げられますが、やはり Webブラウザーの世界市場を Google Chrome に奪われたのが大きいでしょう。

Windows 10 で「既定の Webブラウザー」が Internet Explorer(以降、IE)から Microsoft Edge に切り替わったことは 5年前に解説しました。

ではなぜ、IE は Windows 10 の既定の Webブラウザーではなくなったのでしょうか?様々な要因がありますが、やはり Webブラウザー市場を Google Chrome(以降、Chrome)に奪われたのが大きいです。

この記事によると、2020年6月現在、世界市場の Webブラウザーシェアは Google Chrome が 約 58%、IE がわずか 2.3%。まだ IE が根強いと言われる日本でさえ Chrome が約 43%、IE が約 9% です。

 

ここまで差がつくと人気サイトやサービスが、どの Webブラウザーでの利用を想定して自社サイトやサービスを開発していくかは明らかです。

 

これほど Chrome が普及した大きな理由は無料で提供されたのはもちろん、2008年に登場してしばらくは IE と較べて『圧倒的に』ページ表示が速かったことも挙げられます。

2000年代前半、Webブラウザー市場を席巻していた IE は、独自の機能を搭載して便利になる反面、動作が重くなり、不具合もセキュリティの問題も増え、Webブラウザーとしての基本的な進化が滞りました。

そんな中、できるだけシンプルに Web の標準化技術を採用し、高速で動き、頻繁にアップデートを繰り返して進化していく Chrome が登場し、IE に不満を持っていた利用者に広く受け入れられていったのです。

 

さらに Chrome の基本機能はそのまま、別に「拡張機能」として比較的自由に機能を追加できたのも利用者には魅力でした。

もちろん IE も高速化などを進め、徐々に Chrome 登場の頃ほど速度の差はなくなりましたが、Google検索、Gmail、Googleマップなど Google 提供の人気サービスは Chrome と親和性がよく、普及を押し上げました。

 

一方の IE は過去の独自機能を提供し続ける必要があり、最新サイトやサービスがうまく使えないケースも増え、じり貧になってきたのです。

 
◆◇◆

そのため、IE の独自機能は引き継がないで Web の標準化技術をベースに開発したのが Microsoft Edge であり、Windows 10 からは IE ではなく、Microsoft Edge を「既定の Webブラウザー」にしたわけです。

 

しかし、いったん奪われたシェアは取り戻せず、このまま独自で開発を続けるよりは、Webブラウザーの基本プログラムを Chrome と共通にして開発し直したのが「新しい Microsoft Edge」となります。

 

つまり IE の独自機能を使った社内システムが残る企業向けに IE 自体は存続させつつ、一般利用者には Windows 10 の既定のアプリ(Webブラウザー)に「Microsoft Edge」を使ってください、というわけです。

 

ちなみに IE が標準でなくなった理由はほかにも挙げられます。

  • 一時期、あまりにも利用者が多くなりすぎて、素早い更新や機能の追加ができなくなった
  • 独占禁止法などの影響で以前ほど強引に「IE」を「Windows」にバンドルできなくなった
  • スマートフォンの Webブラウザーにまったく食い込めず、Chrome のシェアが伸び続けた

これらが相互に影響して、あれほどの独占状態が崩れてしまいました。逆に圧倒的だったからこそ身動きが取れなくなったともいえるのです。

 

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